エチオピアからの農薬検出が続いています。
不安に思われる方のためにここで簡単なリスク評価を
してみたいと思います。
まず最初に認識していただきたいのは「食品衛生法違反
と毒性は別物」であるということです。毒性の評価は
ADIという数値に基づいておこないます。これはその農薬
を一生摂取し続けても問題がない量を表していて、農薬
毎に決まっています。(括弧内は検出最高濃度)
リンデン 0.005mg/kg/day (0.23ppm)
クロルデン 0.0005mg/kg/day (0.03ppm)
ヘプタクロル 0.0001mg/kg/day (0.14ppm)
このところの検出事例のうち一番高濃度(括弧内)のものに
ついて実際にリスク評価してみましょう。
2つの仮定をおきます。
1つは体重50kgの方を想定することです。
もう1つはコーヒー一杯当たり10gを使用するということです。
リンデンの場合は
10×0.23×10^-6×100 / (0.005×10^-3×50) = 0.92%
クロルデン、ヘプタクロルについても同様に計算すると
それぞれ1.2%、28% になります。
つまり、コーヒー一杯あたり一生の安全の目安になる量の
30%にも満たない訳です。30%という量は大きく見えるかも
しれませんが、この計算は「生豆10gをそのまま食べる場合」
の計算になります。実際にそんな人はいませんね。
私たちは焙煎して、粉砕して、抽出してコーヒーを摂取
します。私のところでは焙煎豆での検査もしていますが、
生豆で検出された場合でもそれが焙煎豆に残った事例は
ありません。また、今回検出された有機塩素系農薬は
水に溶けにくいことも知られています。たぶん、万が一
焙煎豆に少量残ったとしても、抽出液中にまで含まれる
ことはないでしょう。
繰り返しになりますが、違法性と安全性は別物です。
今回基準を超えるレベルの検出が続いていますが、
コーヒーの安全性を損なうものではないのです。
お分かりいただけましたか?
石脇